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相乗り
2008.09.12

終電を逃してしまったある日。

タクシーで帰るか・・・と、仕方なく乗り込みドアが閉まるその瞬間、
するりと小さな蛾が一匹入り込んでピタッと窓に・・・

「お客さん、どこまで?」
「あ〜ええっと・・・」 
蛾が気になって気になって上の空。

タクシーは快調に走り出したものの気が気じゃない。
見たくないけど見ちゃう。
だって目を離して視線を戻したとき、いなくなってたら怖いじゃないですか!!
やだ、どこいっちゃたの?どこ? みたいな。

窓を開けようか・・・いや、その衝撃で飛ぶかもしれない・・・
ヘタに刺激しないほうがいい・・・

息を殺し、気配を消し、ひたすら蛾を見張りながらの15分。

「着きましたよ」
運転手さんの声と共に身動きひとつ取らなかった蛾が
開いたドアと共にすぅ〜っと飛んで行きました・・・

タダ乗り・・・羽ついてんだから飛びなよ・・・
                                                            佐藤

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